LINEの自動返信とは、LINE公式アカウントに届いたメッセージへ、あらかじめ用意しておいた内容を自動で送り返す仕組みのことです。2026年時点の純正機能は「あいさつメッセージ」「応答メッセージ」「AIチャットボット(β)」の3種類で、それぞれ返せる範囲も料金条件も違います。この記事では、設定画面のどこを触るのかという手順と、動かないときの原因までをまとめて解説します。
この記事でわかること
- 自動返信は3種類: あいさつメッセージ・応答メッセージ・AIチャットボット(β)の違いと、それぞれ何ができないかがわかります。
- 設定手順と「応答モード」の罠: 最初に応答モードを正しく選ばないと、設定しても返信が届かない、手動チャットができないという事故が起きます。
- 動かないときのチェックリスト: 「設定したのに反応しない」の原因を、優先順位・完全一致・利用設定の観点から切り分けます。
LINE公式アカウントの自動返信は3種類ある
まず全体像を押さえます。LINE公式アカウントが標準で持っている自動返信は、次の3つです。役割が重なっていないので、組み合わせて使うのが前提になります。
| 機能 | 送るきっかけ | できること | 費用 |
|---|---|---|---|
| あいさつメッセージ | 友だち追加された直後 | 初回の自己紹介・クーポン配布・メニュー案内 | 無料(通数カウント対象外) |
| 応答メッセージ | ユーザーからメッセージが届いたとき | 一律の定型返信、または設定キーワードと完全一致したときの返信 | 無料(通数カウント対象外) |
| AIチャットボット(β) | ユーザーからメッセージが届いたとき | 登録したQ&Aの中から、生成AIが質問の意図を読んで最適な回答を返す | チャットProオプション 月額3,000円(税別) |
ここで注意したいのが、かつて存在した「AI応答メッセージ」という機能です。業種別のテンプレートを選ぶだけでAIが質問を判別してくれる機能でしたが、2023年11月29日に提供を終了しています。終了時に設定内容は「応答メッセージ」へ引き継がれました。検索すると今も設定手順を解説した記事が大量に残っているため、管理画面を開いて「そんな項目がない」と混乱する原因になっています。現在のAI機能は、後述する2025年11月開始の「AIチャットボット(β)」です。
Q. LINE公式アカウントの自動返信は無料で使えますか?
A. あいさつメッセージと応答メッセージは無料で、しかも配信通数にカウントされないため無料メッセージ枠を消費しません。AIチャットボット(β)で実際にユーザーへ返信するには、チャットProオプション(月額3,000円・税別)の契約が必要です。
【手順】応答メッセージの作り方
ここからが本題です。パソコンの管理画面(LINE Official Account Manager)で操作します。順番を飛ばすと動かないので、Step 1から進めてください。
Step 1. 応答モードを「チャット」に切り替える(最重要)
管理画面の「設定」>「応答設定」を開き、応答モードを確認します。ここには「チャット」と「Bot」の2つがあり、純正の自動返信を使うなら「チャット」を選びます。「Bot」はMessaging APIで外部ツールを接続するときのモードで、こちらにすると管理画面からの手動チャットができなくなります。
現場で最も多い失敗が、ここの取り違えです。「自動返信を設定したのに手動チャットに何も届かない」「Botにしたら個別のやり取りが一切できなくなった」というつまずきは、ほぼこの設定に起因します。最初に必ず確認してください。
Step 2. 応答時間を決める
同じ「応答設定」の画面で、営業時間にあたる「応答時間」を設定します。時間帯は最大5件まで登録できます。営業時間内は手動チャットと応答メッセージを併用し、営業時間外は応答メッセージだけにする、という組み方が基本形です。ここを設定しておくと、深夜に届いた問い合わせにも「明日◯時に順次ご返信します」と自動で返せるようになります。
Step 3. 応答メッセージを作る(一律応答とキーワード応答)
「ホーム」>「自動応答メッセージ」>「応答メッセージ」から新規作成します。応答タイプは2つです。
- 一律応答: 届いたメッセージの内容にかかわらず、同じ返信を送ります。営業時間外の案内など、誰に対しても同じ内容でよいものに使います。
- キーワード応答: 設定したキーワードと完全に一致したときだけ返信します。キーワードは1つの応答メッセージにつき51個まで登録できます。
キーワード応答で気をつけたいのは、部分一致では反応しないという仕様です。「営業時間」で登録しても、ユーザーが「営業時間を教えてください」と送ってきたら反応しません。そのため実務では、「営業時間」「営業」「何時まで」「開店」「閉店」のように、想定される言い回しを並べて登録します。51個の上限は、この揺れを吸収するための枠だと考えるとちょうどよい数です。
さらに、期間や時間帯を指定するスケジュール設定も併用できます。年末年始の休業案内を12月29日から1月3日だけ返す、といった使い方です。
どの返信が送られるかの優先順位
応答メッセージを増やしていくと、1通のメッセージに複数の設定が該当することがあります。そのときは次の順番で判定されます。
最後の「ランダムに選ばれる」は見落としやすい仕様です。同条件の一律応答を2つ以上作ると、どちらが返るか制御できません。一律応答は原則1つに絞り、出し分けたい内容はキーワード応答かスケジュールで分けてください。
【手順】AIチャットボット(β)の導入とQ&A設定
2025年11月12日、LINE公式アカウントに新機能「AIチャットボット(β)」が追加されました。あらかじめ登録しておいたQ&Aの中から、生成AIが質問の意図を読み取って最適な回答を返す仕組みです。キーワードの完全一致に縛られないため、「営業時間を教えてください」でも「何時までやってますか」でも同じ回答にたどり着けます。
ここは誤解されやすいところですが、この機能は登録したQ&Aを土台に回答するもので、何もないところから自由に文章を作るわけではありません。AIが担っているのは「どのQ&Aが質問に合うかの判別」と「回答文の調整」であり、登録していない内容に勝手に答えることはない設計です。逆に言えば、Q&Aの作り込みがそのまま応答品質になります。
| 項目 | 応答メッセージ | AIチャットボット(β) |
|---|---|---|
| 反応の条件 | キーワードと完全一致、または一律 | 生成AIが質問の意図を判別 |
| 言い回しの揺れ | 想定文言を手動で並べる必要がある | 登録Q&Aの範囲で吸収できる |
| 回答の作り方 | 作成した固定文をそのまま送る | 登録Q&Aから選び、文章を整えて送る |
| 費用 | 無料 | チャットProオプション 月額3,000円(税別) |
| 設定場所 | 管理画面(アプリ・Webとも可) | Web版管理画面のみ |
導入の流れは次のとおりです。
- 1. チャットProオプションを契約する: 実際にユーザーへ返信させるには契約が必要です。ただし未契約の状態でも、Q&Aの作成と応答テストまでは試せます。まず無料の範囲で回答精度を確かめてから契約する、という進め方ができます。
- 2. Q&Aを登録する: テンプレートから選ぶ、CSVで一括登録する、手で1件ずつ作る、の3通りがあります。手持ちのPDFや画像から自動でQ&A案を作る機能もあるため、既存のよくある質問集や店内掲示をそのまま素材にできます。
- 3. 応答テストで確かめる: 実際の言い回しを打ち込み、想定した回答が返るかを確認します。ずれていたらQ&Aの質問文を増やす、回答を具体的にする、という調整を繰り返します。
- 4. 運用を開始し、分析する: 回答できなかった質問がログに残るので、それをQ&Aに追加していくと精度が上がっていきます。
利用にあたって押さえておきたい制約が2つあります。1つは、ユーザー側が「LINE公式アカウントAI機能での情報利用」をオンにしている場合のみ自動返信が動くこと。オフのユーザーには、設定をお願いする案内が代わりに送られます。もう1つは、グループトークでは動作しないことです。
Q. AIチャットボット(β)を入れれば、応答メッセージは不要になりますか?
A. 併用が前提です。応答メッセージは完全一致で確実に返す用途、AIチャットボットは言い回しの揺れを吸収する用途と役割が違います。料金や住所のように一字一句ぶれてはいけない回答は、応答メッセージで固定しておくほうが安全です。
自動返信が「反応しない」「動かない」ときのチェックリスト
設定したのに返信が来ない、というときは、上から順に確認してください。ほとんどがこの6項目に収まります。
- 応答モードが「Bot」になっていないか: 純正の自動返信を使うなら「チャット」です。ここが違うと、手動チャットが使えなくなったり、意図しない挙動になります。
- 応答時間の設定と噛み合っているか: 営業時間内は手動対応のみ、という設定になっていると、時間内に届いたメッセージには自動返信が動きません。
- キーワードが完全一致していないのではないか: 最も多い原因です。ユーザーは「営業時間」ではなく「何時まで空いてますか?」と送ります。想定文言を追加してください。
- 一律応答が優先されてしまっていないか: スケジュールなしの一律応答は最後に判定されますが、キーワードが一致していなければ結局これが返ります。「何を聞いても同じ返事が来る」という状態はこれが原因です。
- 該当する応答メッセージが「利用停止中」になっていないか: 利用停止にしていると、スケジュール期間内でも送られません。
- (AIチャットボットの場合)ユーザーのAI利用設定がオフではないか: オフのユーザーには自動返信されず、設定を促すメッセージが送られます。グループトークでも動きません。
Q. 全員に同じ返信が飛んでしまいました。どこを直せばよいですか?
A. スケジュールなしの一律応答が全メッセージを拾っている状態です。一律応答は営業時間外の案内など1つに絞り、内容ごとの出し分けはキーワード応答で作り直してください。
現場で失敗しない自動返信の設計
機能を設定できることと、成果が出ることは別です。実際に運用している事業者の声を見ていくと、共通した設計の型があります。
一次対応は自動、最後の一往復は人
自動返信を導入した事業者が口をそろえて語るのが、「一次対応だけ自動化し、購入や来店を迷っている人の背中を押す最後の一往復は人がやる」という線引きです。すべてをテンプレートで返すと、冷たい印象になったり、判断が必要な場面で事故が起きたりします。
営業時間の内と外で設計を分ける
応答時間の設定を活かすと、時間帯ごとに役割を変えられます。
| 時間帯 | 応答の組み方 | ねらい |
|---|---|---|
| 営業時間内 | 手動チャット+キーワード応答 | よくある質問は自動で返し、個別相談だけ人が対応する |
| 営業時間外・休業日 | 一律応答のみ | 受付した事実と返信予定を伝え、取りこぼしと不安を防ぐ |
| 繁忙時間帯 | 時間指定の一律応答 | 「ただいま混み合っております」と待ち時間を先に伝える |
| 長期休業期間 | 期間指定の一律応答 | 年末年始・臨時休業を期間限定で自動案内する |
リッチメニューと組み合わせる
実務では、自動返信を単体で動かすより、リッチメニューとセットで設計するほうがうまくいきます。トーク画面下部のリッチメニューに「料金を見る」「アクセス」「予約する」といったボタンを置き、タップするとそのキーワードが送信されるように設定しておけば、ユーザーは自由入力をしなくて済み、キーワード完全一致の弱点をそのまま回避できます。
言い換えると、自由入力を前提にキーワードを増やし続けるより、選択肢を先に見せて誘導するほうが確実です。自動返信が「反応しない」という悩みの多くは、この設計で解消します。
純正で足りるか、外部ツールが必要かの判断基準
ここまでの機能で対応できるのは、基本的に「質問に答える」ところまでです。純正の自動返信は、問い合わせ対応の負担を下げる用途では十分に強力ですが、次の領域には届きません。
- 予約の確定: 空き状況を見せて枠を押さえる、という処理は自動返信ではできません。詳しくはLINE予約システムとは?仕組み・できること・選び方で解説しています。
- 顧客ごとの出し分け: 来店履歴や購入履歴に応じて内容を変えるには、顧客データを持つ仕組みが必要です。
- 再来促進の自動化: 前回来店から一定期間が過ぎた人にだけ案内を送る、といった動きは純正だけでは組めません。
判断の基準はシンプルです。目的が「問い合わせ対応の削減」なら純正で足ります。「予約と再来まで自動で回したい」なら、顧客データを持てるCRM側の仕組みが要ります。外部の拡張ツールやCRMをMessaging APIで接続する場合は、応答モードを「Bot」に切り替えることになる点も、あわせて設計に入れておいてください。
なお、どの予約システムを選ぶかで再来率まで変わってきます。タイプ別の選び方はLINE予約システムのおすすめは「タイプ別の選び方」で決まる【2026年版】、美容室での具体的な考え方は美容室のLINE予約、純正でどこまで?選び方をLTV基準で解説を参照してください。
問い合わせ対応から予約・顧客管理までをまとめたい方へ
Yells(エールス)は、AIによる応答と予約・配信・顧客分析をひとつにまとめたLINE運用サービスです。事前に登録したFAQに依存せず、会話の文脈と顧客プロフィールをふまえて応答し、そのまま予約とカレンダー同期、顧客カルテの自動作成までつながります。LINEで詳しく見る
よくある質問
Q. 自動返信の設定はスマートフォンのアプリからでもできますか?
A. あいさつメッセージと応答メッセージはアプリからも設定できます。AIチャットボット(β)はWeb版の管理画面からのみ設定できます。
Q. キーワードは何個まで設定できますか?
A. 1つの応答メッセージにつき51個までです。表記揺れを吸収するための枠なので、ひらがな・カタカナ・略語・質問形の言い回しをまとめて登録しておくと反応率が上がります。
Q. 自動返信はメッセージ配信の通数に含まれますか?
A. 含まれません。応答メッセージとあいさつメッセージは配信通数のカウント対象外なので、無料メッセージ枠を消費せずに使えます。
Q. 「AI応答メッセージ」の設定画面が見つかりません。
A. AI応答メッセージは2023年11月29日に提供を終了しています。現在は応答メッセージ、またはAIチャットボット(β)を使ってください。当時の設定内容は応答メッセージへ引き継がれています。
Q. 自動返信を入れると、お客様に冷たい印象を与えませんか?
A. 実際の反応を見ると、拒否感より「すぐ答えが返ってくるなら便利、返ってこないと困る」という実用的な受け止めが中心です。むしろ問題になりやすいのは、自動と有人の境目が曖昧で、返信を待たされているのか終わったのかわからない状態です。営業時間外は「翌営業日に順次ご返信します」と明示するだけで印象が変わります。
まとめ
LINEの自動返信は、応答モードを「チャット」に設定し、応答時間を決め、一律応答とキーワード応答を組み合わせるところから始まります。キーワードは完全一致という仕様を踏まえ、想定される言い回しを並べておくこと、そしてリッチメニューで自由入力そのものを減らすことが、動く自動返信の条件です。
言い回しの揺れをまとめて吸収したい段階になったら、2025年11月に始まったAIチャットボット(β)が選択肢に入ります。チャットProオプション(月額3,000円・税別)が必要ですが、Q&Aの作成と応答テストは契約前に試せます。
そして、目的が問い合わせ対応の削減を越えて「予約と再来まで自動で回す」ところにあるなら、純正の自動返信では届きません。自動化をどこまでやりたいのかを先に決めることが、遠回りを防ぐいちばんの近道です。
参考情報
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント|応答メッセージ」マニュアル
- LINEヤフー for Business「『LINE公式アカウント』の有料オプションに生成AIを活用した新機能『AIチャットボット(β)』を追加」(2025年11月)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント チャットProオプション」サービスページ
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントのアップデート情報」(AI応答メッセージの提供終了)
- Yells(エールス)公式サイト(yells.hiup.jp)