LINE順番待ちシステムとは、店頭やWebで受け付けた来店順を管理し、順番が近づいたお客様のLINEへ呼び出し通知を送る仕組みのことです。先に結論を書くと、LINE公式アカウントの標準機能だけでは順番待ちは組めません。順番を数えて並べておく「台帳」を持つ外部の仕組みが必ず要ります。この記事では、公開されている一次情報と現場の声をもとに、作り方と費用、そして運用の決めごとを整理します。
この記事でわかること
- LINEで順番待ちを実現する2つのルート: 外部の順番待ちシステムと連携する方法と、LINEミニアプリで受付から通知まで完結させる方法。必要な機材と費用の出方が大きく違います。
- 受付から呼び出しまでの構築手順5ステップ: 受付導線の決め方、待ち組数の見せ方、2段階の呼び出し設計、紙の番号札との併走、スタッフ側の消込までを順に示します。
- 「呼んだのに来ない・飛ばされた」を防ぐ3つの鉄則: クレームの大半はここで起きます。猶予時間と保留ルールを先に決めておくだけで防げます。
LINE公式アカウント単体では順番待ちができない理由と、必要になる仕組み
LINE公式アカウントが持っているのは、メッセージを配信する機能とチャットの機能だけです。「いま何組待っているか」を数えて順番に並べておく台帳の機能はありません。そのため、LINEは呼び出しの通り道であって、順番待ちの本体にはなれません。
台帳をどこに置くかで、導入ルートは大きく2つに分かれます。店頭にiPadなどの端末を置いて発券する「外部システム連携型」と、お客様のスマホだけで完結する「LINEミニアプリ型」です。3つ目の選択肢として、予約システムを入れて順番待ち自体を減らす道もありますが、これは後半で扱います。
| 導入形態 | 受付のしかた | 必要な機材 | 通知の出どころ | 向く店 |
|---|---|---|---|---|
| 外部システム連携型 (Airウェイトなど) |
店頭端末で発券。紙の番号券も出せる | iPad・プリンターなどを別途用意 | システム提供会社のLINEアカウント(お客様はそちらを友だち追加する) | 飛び込み来店が多く、店頭の行列を整理したい飲食店・小売 |
| LINEミニアプリ型 | 店頭QRを読むとLINE内で受付が完結 | 不要(お客様のスマホだけ) | 自店のミニアプリからの「サービスメッセージ」 | 店頭スペースが狭い店、車内や近隣で待ってもらう店・クリニック |
| 予約システム併用型 | 時間を指定して先に埋める(並びを発生させない) | 不要 | 自店のLINE公式アカウント | 1組あたりの所要時間が読める業態 |
見落としやすいのが「通知はどのアカウントから飛ぶのか」です。たとえばAirウェイトのLINE呼び出しを使う場合、公式のFAQにはAirウェイト側のLINEアカウントを友だち追加する必要があると書かれています。自店のLINE公式アカウントから呼び出したい場合は別途の連携費用がかかる案内になっており、金額は公開されていません。順番待ちをきっかけに自店の友だちを増やしたいのか、呼び出しさえできればいいのか。ここを先に決めないと、せっかくの来店客が他社アカウントの友だちになって終わります。
LINEミニアプリの「サービスメッセージ」は、LINE Developersの公式ドキュメントによるとユーザーの操作に対する確認や応答としてのみ送信でき、1回の操作につき最大5通までと決められています。値下げやクーポンなどの広告を混ぜることは禁止されています。受付完了と呼び出しの通知はこの範囲に収まるので、順番待ちとは相性のよい仕組みです。
【HowTo】LINE順番待ち・受付システムを構築する5つの手順
導入形態を決めたら、あとは受付から呼び出しまでの流れを組み立てるだけです。全体で半日ほど、うち大半は文面づくりに使います。設定作業そのものは1時間もかかりません。
STEP 1|受付導線を1本に決める(所要30分)
店頭の発券機、卓上QR、Web事前受付のどれを正面の入口にするかを決めます。複数を同時に開けないでください。入口が2つあると台帳が2冊になり、順番の重複がそのまま起きます。必要なものは、入口に貼るQRの掲示物と「ここから受付してください」の一文だけです。
STEP 2|受付完了画面に「待ち組数」と「目安時間」を必ず出す(所要30分)
受付が終わった直後に返すメッセージへ、現在の待ち組数と、目安の待ち時間を必ず入れます。ここが空欄だと、後述するクレームのほとんどが発生します。目安時間は正確である必要はなく、「1組あたり◯分×待ち組数」で機械的に出した数字で構いません。
STEP 3|呼び出しを「予告」と「本番」の2段階に分ける(所要1時間)
いきなり「お呼び出しです」だけを送るのは失敗します。「あと◯組でお呼びします」の予告を先に送り、そのうえで本番の呼び出しを送る形にしてください。外に出ているお客様が戻る時間をここで確保します。文面には必ず「到着したら受付にお声がけください」など、着いたあとにやることを1行書きます。
STEP 4|紙の番号札を必ず併走させる(所要30分)
スマホを持たない方、通知の設定が分からない方は必ず来ます。QRを読めない人向けの紙の番号札と、店内モニターまたは掲示板での番号表示を、必ず残してください。デジタルに一本化した瞬間に、いちばん丁寧な対応が必要なお客様が置き去りになります。
STEP 5|スタッフ側の呼び出し操作と消込を標準化する(所要1時間)
「誰が呼び出しボタンを押すか」「来店を確認したら誰が消込むか」を役割として決めます。消込が漏れると、次の組の呼び出しが止まります。開店から1週間は、紙の台帳とシステムの両方を突き合わせて、ずれが出ないかを確認してください。
客の怒りと現場の疲弊を生む「呼び出し飛ばし」を防ぐ3つの鉄則
順番待ちで店が失うのは、待たせた時間ではありません。「あと何分か分からない」不安と、「呼ばれたのに気づかず飛ばされた」という取りこぼしです。この2つが起きた瞬間に、来店客は二度と戻らなくなります。
実際にX上には、こうした声が並んでいます。「オンラインで順番待ちを確認しながら待っていたら、ずっと先頭のままだったので戻ったら、とっくに呼び出されていて順番を抜かされていた」「順番待ちの先頭になったから急いで戻ったら、もう2組呼び出し中だった」「順番を飛ばされて聞いたら『知らないです』と言われた。多分ここには二度と行かない」。店側からも「何回も番号を呼ばれているのに誰も手を挙げない。仕方ないから飛ばして次を案内すると、飛ばされたお客様が戻ってきて受付で文句を言う」という声が上がっています。
ぐるなびリサーチ部が2024年8月に20〜60代の会員1,291名へ行った調査では、入店待ちの許容時間は平常時で「〜30分」が最多の23.7%でした。さらに気温10℃以下の真冬では37.1%、30℃以上の真夏では50.0%が「並ぶ店には行かない」と答えています。半数が並ばない条件が年に何日もある以上、行列を短くする努力より、並ばずに待てる状態を作るほうが効きます。
鉄則1|呼び出しメッセージに、着いたあとの行動を書く。 「LINEで呼び出しが来たから店に来たのに、整理券を発券されてまた呼ばれるのを待つことになった」という声があります。呼び出しの文面に「到着後は受付でお名前をお伝えください」の一行があるかどうかだけで、この混乱は消えます。
鉄則2|不在時の保留ルールを、受付した瞬間に合意しておく。 「呼び出しから◯分で次の方へお回しし、戻られたら再度ご案内します」と受付完了メッセージに書いておきます。飛ばすこと自体は問題ではありません。飛ばすと聞いていなかったことが問題です。
鉄則3|呼び出しから来店までの猶予を、時間で決めて自動化する。 スタッフの判断に委ねると、忙しい日ほど短く、暇な日ほど長くなり、不公平が生まれます。LINEの通知は見落とされるものだという前提に立ってください。「間違えて別の人からのメッセージの通知で家を出てしまった」「友だちからの通知を触ってしまってやり直しになった」という声が実際にあります。
| 決めておくこと | 決め方の例 | 決めていないと起きること |
|---|---|---|
| 呼び出し後の猶予時間 | 10〜15分。混雑日も変えない | スタッフごとに判断が変わり、飛ばされた側が不公平を訴える |
| 戻らなかった組の扱い | 次の組へ繰り下げ、戻ったら再案内 | 「知らないです」と突き放す対応になり、口コミで拡散する |
| 店外で待てる範囲 | 徒歩5分以内など目安を明示 | 遠くまで離れた組の呼び出しで、全体の回転が止まる |
| 紙の番号札の運用 | 掲示板で番号を並行表示 | スマホを持たない客の順番が把握できなくなる |
| 受付の締め切り時刻 | 閉店30分前で受付を止める | 閉店後まで残る組が出て、スタッフの退勤が読めなくなる |
LINE順番待ちの費用内訳|システム月額・機器代・メッセージ通数の総額
費用は「システムの月額」「店頭機材」「LINEのメッセージ通数」の3つに分かれます。見積もりで抜けやすいのは3つ目です。
システムの月額は、比較各社の解説によると初期0〜10万円、月額5,000〜30,000円が相場です。代表的なAirウェイトの公式ページでは、無料プランが0円、ベーシックが11,000円(税込)、スタンダードが22,000円(税込)と公開されています。LINE呼び出しはベーシック以上が対象で、iPadやプリンターは別途、電話呼出とSMS呼出は従量課金です。
そして自店のLINE公式アカウントから通知を飛ばす場合、通数がそのまま費用になります。LINEヤフー公式の料金表では、コミュニケーションプランが月額0円で無料メッセージ200通、ライトが5,000円で5,000通、スタンダードが15,000円で30,000通(いずれも税別)。追加メッセージを購入できるのはスタンダードだけで、1〜5万通は1通あたり3円(税別)からの段階制です。
| 月の受付組数 | 必要な通数 (1組3通で試算) |
必要なLINEプラン | LINE側の月額(税別) |
|---|---|---|---|
| 50組 | 150通 | コミュニケーション | 0円 |
| 100組 | 300通 | ライト | 5,000円 |
| 500組 | 1,500通 | ライト | 5,000円 |
| 2,000組 | 6,000通 | スタンダード | 15,000円 |
1組につき受付完了・予告・呼び出しの3通を送ると、無料枠200通は月66組で尽きます。1日3組の受付で上限に届く計算です。順番待ちの通知は予約のリマインドより通数を食う、というのは先に知っておいてください。
なおこの通数の話は、通知を自店のアカウントから飛ばす場合に限ります。システム提供会社のアカウントから飛ぶ形なら自店の通数は消費しませんし、LINEミニアプリのサービスメッセージも、操作への応答として送る範囲であれば通常のメッセージ配信とは扱いが異なります。見積もりを取るときは「通知はどのアカウントから出ますか」を必ず確認してください。ここで答えが変わると、月額が数千円単位で動きます。
自店は「順番待ち」と「予約制」のどちらを導入すべきか
ここまで読んだうえで、いちばん大事な判断が残っています。そもそも並ばせる必要があるのか、という問いです。順番待ちシステムは待ち時間を短くしません。可視化して、外で待てるようにして、体感のストレスを下げるだけです。店の処理能力そのものは変わりません。
判断軸は3つです。1組あたりの所要時間のばらつき、来店タイミングの読みやすさ、そしてスタッフ数。所要時間が読めない業態は予約制にすると必ず遅延が出るので順番待ちが向きます。逆に所要時間が読める業態は、時間を指定して先に埋めたほうが、行列そのものが発生しません。
| 業態 | 所要時間のばらつき | 向いているのは | 理由 |
|---|---|---|---|
| 飲食店(ランチ・週末) | 大きい | 順番待ち | 滞在時間が読めず、飛び込み来店が主力。予約で埋めると空席ロスが出る |
| クリニック・歯科(一般診療) | 大きい | 順番待ち+時間帯予約の併用 | 診察時間が読めない一方、待合室の混雑は避けたい。院外待機との相性がよい |
| 美容室・エステ・整体 | 小さい | 予約制 | メニューごとに所要が読める。並ばせる理由がない |
| 歯科の定期検診・予防接種 | ごく小さい | 予約制 | 枠を先に埋めたほうが、当日の受付業務が消える |
| 動物病院 | 大きい | 順番待ち | 診察内容が事前に読めず、緊急の割り込みが起きる |
| 小売のカウンター受付 | 中程度 | 順番待ち | 用件がその場まで分からない。並ばせない設計が難しい |
現場の声も割れています。「完全WEB予約制にしたら回転率が上がった」という院がある一方で、「完全予約制の病院なのに1時間待ち」「予約制にしたら常連が来なくなった」という声も同じだけあります。予約制は万能ではなく、所要時間が読めない業態でやると、待たせたうえに予約の看板まで裏切ることになります。
予約制の設計そのものを詳しく検討したい方は、LINE予約システムの基本ガイドとLINE予約システムの比較・選び方にまとめています。業種ごとの運用設計は業種別のLINE予約の選び方、クリニックの事情はクリニック・歯科のLINE予約システム導入ガイドが近いはずです。
最後に、この記事を書いているエールスの立ち位置をはっきりさせておきます。エールスは順番待ち(発券・呼び出し)の機能を持っていません。担当しているのは「並ばせない側」で、LINEやLIFFからの時間指定予約、24時間前の自動リマインダー、一斉配信、AIによる問い合わせ応答が中心です。行列が前提の業態なら、順番待ち専用のシステムを選ぶのが正解です。そのうえで、予約で先に吸収できる分(定期の来店、所要時間が読めるメニュー、リピーターの再来店)をエールス側で抜いてしまえば、順番待ちシステムが処理する組数そのものが減り、通数も機材も軽くなります。料金はFreeプランが0円、Proが月額10,000円(年払いなら100,000円で2か月分無料)です。まずはFreeで、リピーターの再来店だけを予約に寄せてみて、行列がどれだけ減るかを見てみてください。
よくある質問
Q. LINEを使えない高齢のお客様の受付はどうすればいいですか。
A. 紙の番号札と、番号を表示する掲示板やモニターを必ず併走させてください。デジタルに一本化すると、いちばん配慮が必要な層が置き去りになります。実際に「スマホで予約できない高齢者のためにできたはずが、今や並んでいるのは若者ばかり」という指摘が出ています。
Q. 呼び出し通知に気づかず戻ってこないお客様はどう扱えばいいですか。
A. 「呼び出しから◯分で次の方にお回しします。戻られたら再度ご案内します」と、受付した瞬間のメッセージに書いておくのが唯一の解決策です。飛ばすこと自体ではなく、聞いていなかったことがクレームになります。
Q. 無料でLINE順番待ちシステムを運用することはできますか。
A. できますが上限があります。Airウェイトのような無料プランは簡易的な順番待ち管理までで、LINE呼び出しは有料プランからです。自店のLINE公式アカウントから通知を飛ばす場合も、無料枠は月200通、つまり1組3通なら月66組までです。実質的には「小規模で試す」までと考えてください。
Q. 店外や車内で待ってもらう場合、GPSや距離の制限は必要ですか。
A. 技術的な制限より、「徒歩5分以内でお待ちください」と文面で示すほうが確実です。位置情報の取得は同意の取り付けが必要になり、運用が重くなります。実際の効果は、予告の通知を1本挟むだけでほとんど得られます。
Q. 順番待ちをきっかけに、LINEの友だちを増やしてリピート集客につなげられますか。
A. 通知がどのアカウントから飛ぶかで結果が正反対になります。システム提供会社のアカウントを友だち追加させる形だと、来店客はそちらの友だちになり、自店の資産にはなりません。自店のアカウントから呼び出す形にできるか、見積もり時に必ず確認してください。順番待ちは、来店客と確実にLINEでつながれる数少ない接点です。ここを他社に渡すのは、かなりもったいない選択です。
順番待ちで取り組むべきことは、突き詰めると3つだけです。待ち組数と目安時間を必ず見せること、呼び出しを予告と本番の2段階にすること、そして猶予と保留のルールを受付の時点で伝えておくこと。システムを入れても待ち時間は短くなりませんが、この3つを決めるだけで「二度と行かない」は確実に減ります。そのうえで、並ばせなくて済む来店は予約に寄せていくのが、いちばん安く効く順番です。